家族機能研究所紀要 第6号

収録内容
斎藤  学
  男らしさと「引きこもり」
 少女の売春と近親姦
 近親姦虐待被害者における遅延記憶と脳画像に関する予備的研究
  ワークショップ:嗜癖としての引きこもり
  摂食障害と児童期性的虐待
  児童期性的虐待とPTSD
太田 真弓
 
虐待する母親と虐待される児童への治療的介入の2例
中村 俊規
 
頭部外傷後の認知リハビリテーション
四戸 智昭
 家族内の児童虐待によるPTSDとスクリーニングテストに関する研究
 英米での児童虐待への取り組みから何が学べるか
 エッセイ:借金アディクション
序 斎藤 学 家族機能研究所代表
 2001秋から始まったさいとうクリニックの児童診療部(太田真弓部長)は順調に展開している。2002年12月には第8回「日本子どもの虐待防止研究会」(東京)でその一端を世間に披露したが、この紀要にはまだ納められていない。
 これを書いている時点でさいとうクリニックは開設から7年半を経過し、新患のカルテ番号は7500になった。年間1000名の新患を迎え続けてきたことになる。苦労して蓄積してきた診断データベースのおかげで、医局の若い先生たちからの報告をきくこともできるようになった。これで後継者が見つかりさえすれば幸せな晩年ということになるのだろうが、残念ながらまだそのような状況にはいたっていない。
 それどころか2002年には新たな船出さえあった。CSPP−Japan(カリフォルニア臨床心理大学院・日本語コース)のスタートである。3年後には第1期生の卒業があり、彼らの卒後研修の場の確保や日本のサイコセラピストとしての認定問題をクリアしなければならない。そんなことよりも当面心配なのは第2期生の応募状況である。去年のように沢山の入学志願者を迎えられるのだろうか。私はまだこんな生々しい不安と悩みの中にいる。
 研究面での進捗についてはくどくどしく述べる気にはなれない。中村俊規氏の責任編集よる「アディクションと家族」誌19巻4号には、私がここでやろうとしていることの輪郭が示されている。まだ端緒をつかんだに過ぎないとはいえ、ここ数年の間傾注してきた児童期性的虐待の重度と脳図像の関連が必ずしも見当違いの妄言と切り捨てられないことをご理解頂けると思う。ただ今後の研究活動はとても一民間研究所の独力では進まない。何処の誰とどのような形で相互連携できるかについて、模索の日々が続いている。

2003年3月10日


Institute for Family Functioning